日本を代表するターミナル駅である渋谷駅に隣接し、これまで分断されていた桜丘地区へのアクセス向上が期待される「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」。オフィスや商業施設に加え、渋谷の中心地区では希少な居住区画のほか、誰もが利用できるパブリックな広場も多数備えた大規模複合施設だ。

駅と桜丘エリアをつなぐ新拠点

発表会ではまず、東急不動産代表取締役社長の星野浩明氏から、Shibuya Sakura Stageの竣工に至る経緯が説明された。東急不動産創業の地でもある渋谷は、多様なカルチャーを継承して発展するまちづくりを継続するために、中心地区で100年に一度の再開発が進行している。ビジネスの開発とエンターテイメントの集積によって世界の人が集まる場を目指し、渋谷ヒカリエ(2012年)、渋谷ストリーム(2018年)、渋谷スクランブルスクエア・渋谷フクラス(2019年)と続いてきた開発プロジェクトに次ぐ、渋谷駅中心地区の最後のピースが「Shibuya Sakura Stage」だ。
桜丘地区は国道246号とJR線に隣接し、渋谷の谷地形によって駅と近辺を繋ぐネットワークが脆弱だったエリア。開発前には細い路地や小さい敷地が密集し、建物の老朽化も進んでいたという。そこで「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」が立ち上がり、2008年の準備組合設立総会から時を経て、120名の地権者を交えながら事業が進行。かねてよりの悲願であった街の分断を解消すべく、駅と直結する新改札や歩行者デッキ、地下からの移動をスムーズにする縦軸動線「アーバンコア」なども含めた施設として、Shibuya Sakura Stage が立ち上がった。



渋谷の街の魅力は「働く、遊ぶ、暮らす」が一体となり、多様な人が訪れることだと語る星野氏。その言葉を象徴するかのように、Shibuya Sakura Stageには渋谷の中心地区では希少な住宅設備となる「ブランズ渋谷桜丘」や、サービスアパートメント「ハイアット ハウス 東京 渋谷」といった住環境が揃う。また、渋谷駅周辺再開発において最大級の賃貸面積(約10万㎡)を誇るオフィスエリアを始め、シェアオフィス「ビジネスエアポート」や食を起点とした起業支援施設「manoma」など、様々な働き方を実現する環境も充実している。

星野氏によれば、渋谷は若者が集まる流行最先端の地と見られることもあるが、むしろ年齢の幅は広く、ビジネスパーソンにとっても憩いの地となる、ダイバーシティの街だという。感性が刺激されアイデアが湧いてくる場所として、Shibuya Sakura Stageがクリエイティブコンテンツの創造と集積を促進し、渋谷を中心とした賑わいの好循環を加速させていきたいと意気込みを語った。
多様な賑わいを創出する施設や仕掛け

Shibuya Sakura Stageのコンセプトは「渋谷の新たな玄関口の誕生〜巡り歩いて楽しいまちへ〜」。東急不動産の黒川泰宏氏によれば、東急グループが掲げる広域渋谷圏やGreater SHIBUYA 2.0戦略における、「働く」「遊ぶ」「暮らす」が融合した持続性のある街を象徴する場所になるという。
桜丘エリアは「趣味を楽しむ」ローカルカルチャーが根付いている場所。その文化を守り次世代に継承しつつ、最先端のトレンドやカルチャーの創出を目指していくためにも、Shibuya Sakura Stageには多数の仕掛けが盛り込まれている。ハードとソフトの両輪で進む、この場所ならではの設備を写真と共に紹介しよう。

渋谷の発信力を引き立たせる場所の一つが、駅直結のイベントスペース「BLOOM GATE」。圧倒的なトラフィックを生かし、リアルとデジタルを掛け合わせた新たな体験を提供する、次世代型イベントスペースとして国際都市渋谷におけるランドマーク化を目指す。モビリティの展示やダンスパフォーマンス、併設されたキッチンを活用した食品の展示など、幅広い利用法が想定されている。



Shibuya Sakura Stageの各所には、大型のLEDビジョンが配備されている。それぞれ「ピラービジョン」「ストリートビジョン」「レールビジョン」「コリドービジョン」と名付けられ、五感に訴えかける発信力の高さが特徴だ。駅前から望むキネティック・ファサード(動く外観)では、Shibuya Sakura Stageを象徴する満開の花びらが織りなす美しさも表現するという。


こちらは賑わい溢れるまちの中心となることを目指した「にぎわいSTAGE」。キッチンカーの出店や各種イベントのほか、夜の時間帯には365日異なる空間演出のライトアップが行われる。960個の照明がミストや音楽と連携し、四季の移ろいを感じさせる光と音のハーモニーを演出するという。人々の賑わいと安らぎに最先端のデジタルテクノロジーが融合した、まさにShibuya Sakura Stageを象徴するような場所になるだろう。

緑豊かなこちらは「はぐくみSTAGE」。桜の木が植えられた公開空地として、24時間開放される場所だ。子育て支援施設「CAPITAL TOKYO INTERNATIONAL SCHOOL」が食育のために利用する農園も併設されている。
また、Shibuya Sakura StageではNTTグループによる次世代通信サービス「IOWN」が導入され、高品質・大容量・低遅延という機能面の向上のみならず、省エネルギー化も果たされる。東急不動産ホールディングスがスローガン「WE ARE GREEN」で掲げるように、緑あふれる広場や省エネルギーの導入などグリーンを起点に様々なアプローチで実施され、環境先進都市渋谷をここShibuya Sakura Stageにおいて実現しようとしているのだ。


次世代クリエイターの支援として力を入れているのが、インディーゲームクリエイターの聖地づくりだ。性差や年齢を問わず楽しめるゲームに着目し、海外進出や交流の基点となる施設「404 NOT FOUND」を立ち上げた。WORK(働く)、STUDY(学ぶ)、EAT(食べる)、STUDIO(伝える)という4つの要素をPLAY(遊ぶ)と結びつけ、様々なコラボレーションによって最先端のトレンドやカルチャーを生み出そうとしている。
Shibuya Sakura Stageではゲームに限らず、次世代のアーティストやクリエイター、スタートアップの支援も行っていく。多様なアセットや渋谷の各拠点と連携したイベントの実施、MIT(マサチューセッツ工科大学)の教授や関連スタートアップなどのエコシステムとグローバル基準でつながる産学連携やディープテック・スタートアップ支援拠点の開設。各種パートナーとの共創によるイベントの開催など、賑わいの創出に資する取り組みを継続的に行い、「創造・発信・集積」の好循環をShibuya Sakura Stageから生み出していこうとしているのだ。
体験が全ての前提となる新たなランドマーク

黒川氏によれば、働きながらも賑わいを感じられるオフィスは既に95%が契約済みで、ITとエンターテイメント業界が8割を占めるという。また、商業施設エリアは体験型テナントが4割を占めるのも大きな特徴。イベントスペースやサイネージと連携した、リアルとデジタルが溶け合うコンテンツやブランド体験が可能になるという。

質疑応答でこれまでの施設との差分を問われた黒川氏は、モノを買う楽しみと、その場に行って体験する楽しみを両立させることの重要性を答え、桜丘エリアのローカルカルチャーを汲む雰囲気を感じられる場所にしたいと想いを伝えた。単純にモノを売り買いするだけではない、新たな商業施設としての体験が期待できそうだ。
Shibuya Sakura Stageには桜丘の地名に基づく「Sakura」と、人が集まりその場で楽しむ舞台としての「Stage」が冠されている。渋谷中心に生まれる新たな拠点として、街全体の賑わいを創出する要になることが予感される発表会だった。
Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ) Official HP