2024年11月〜12月、渋谷フクラス1階に位置する観光案内施設「shibuya-san」にて生成AIを活用した「Shibuya AI concierge」が設置された。スマートシティの新たなモデルケース構築を模索する東急不動産とソフトバンクがタッグを組んだプロジェクトの一環で、期間中は訪日外国人を中心に多くの観光客が体験したという。プロジェクトのメンバーであるソフトバンクの田口翔太さん、東急不動産の五十幡隆亮さん、そして知財と事業をマッチングさせるクリエイティブ・メディア『知財図鑑』の編集長で、AIにも精通する荒井亮さんの3名による鼎談をお届けする。

Official HP

デジタルトランスフォーメーション本部　スマートシティ事業統括部　SC事業推進1部 4課に所属。
スマートシティを推進するプロジェクトに従事し、ビルマネジメント業務の効率化や生成AIを活用した回遊性の向上に向けた施策に携わる。

ソフトバンク株式会社

田口 翔太

都市事業ユニット　渋谷事業本部　渋谷運営事業部　エリアマネジメントグループ所属。
2024年入社。広域渋谷圏のインバウンド事業や渋谷駅前エリアマネジメントの運営業務に従事。デジタルを活用したインバウンドの回遊行動促進の施策検討や、観光案内所shibuya-sanの運営、商業施設の連携強化に携わる。

東急不動産株式会社

五十幡 隆亮

1977年東京都生まれ。立教大学社会学部卒。クリエイティブ会社THINKRにてライブ配信事業「2.5D」のプロデューサーとして番組の企画制作、アライアンスやチームビルディングを担当。その後、Konelに所属し「知財図鑑」を立ち上げ、クリエイティブ x テクノロジーでのイノベーション推進を進める。web3 / NFT領域に関心があり、NEO TOKYO PUNKS / 6Town Port Rebels / QR81Vなど様々なコレクションに関わる。虎ノ門ヒルズインキュベーションセンター「ARCH」メンター、特許庁「I-OPEN」2022年度メンター。

編集長 / 知財図鑑

荒井 亮

渋谷フクラスの1階に位置し、月間約2万人が訪れる観光案内所。成田空港や羽田空港直結のリムジンバスの発着場の目の前にあることや、渋谷駅徒歩1分という好立地であることもあり、渋谷観光のハブとなっている。観光案内所としての機能はもちろん、アートセンターとしてのアート展示やイベントスペースとしての活用を通して、昼夜問わず多くの人々が訪れる。


shibuya-san

田口翔太／五十幡隆亮／荒井亮

生成AIが呼び起こす街の記憶。
「Shibuya AI concierge」の可能性と意義を探る

東急不動産株式会社とソフトバンク株式会社、東急不動産SCマネジメント株式会社および東急リゾーツ＆ステイ株式会社は、「広域渋谷圏」の飲食店や物販店のプロモーション動画を自然言語処理モデル「GPT」などをベースとしたAI（人工知能）マルチエージェントで生成し、地域特化型ウェブサービス「OurPick」で海外からの観光客などの来街者に配信することで、エリア内の回遊性向上を図る実証（以下「本実証」）を、2025年12月1日に開始した。<figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/a63e6803d259484297a4bcaf3d8d48e5/4c338fd7321546e58a202e384acd0e43/main.png" alt="" width="2220" height="978"></figure>本実証では、全体を統括するディレクター役のAIエージェントの下、動画制作の各工程に特化したAIエージェントに分担・連携させる、ソフトバンクのAIマルチエージェント技術を活用。商品名や商品の魅力と、写真数点を入力すると日本語・英語・韓国語・中国語（簡体）・中国語（繁体）の5言語でショート動画を自動で生成する。それぞれの言語圏のトレンドに合わせたテイストの動画を生成することも可能。この技術で、「渋谷フクラス」や「Shibuya Sakura Stage（渋谷サクラステージ）」および東急プラザ原宿「ハラカド」をはじめとする広域渋谷圏の店舗のプロモーション動画を作成し、東急不動産が新たに提供する地域特化型ウェブサービス「OurPick」で12月1日に配信を開始した。ユーザーは手持ちのスマートフォンやタブレットから「OurPick」にアクセスして視聴できる他、渋谷フクラスおよび渋谷サクラステージに設置されたタッチ式のサイネージや、「東急ステイ渋谷」の客室に設置されたタブレットなどでも視聴できる。実証期間中は、ソフトバンクが店舗のショート動画の制作と「OurPick」の配信を担う。広域渋谷圏は、渋谷や原宿、表参道などが含まれ、海外からの観光客など多くの人々が訪れるエリア。渋谷スクランブル交差点や忠犬ハチ公像などの世界的に認知度が高い観光名所が訪問される一方で、周辺施設や店舗への回遊が十分に生まれていないという課題がある。店舗側においては、海外からの観光客向けのプロモーションを実施したいものの、費用や労力など負担が大きいという課題がある。例えば、来街者が情報収集する手段としてショート動画の活用が急速に拡大している一方で、多言語での動画の制作にはハードルが高く十分に行えていない状況にある。本実証では、AIマルチエージェントおよび「OurPick」を活用することで、これらの課題を解決するとともに、広域渋谷圏における店舗の認知向上や来店促進につなげる。また、店舗および来街者を対象とした事後のアンケートなどを通して、取り組みの効果を検証していく。本実証は、東京都・公益財団法人東京観光財団の「AI等先端技術を活用した受入環境高度化支援事業」に、東急不動産、東急不動産SCマネジメントおよび東急リゾーツ＆ステイが「東急不動産ＨＤ広域渋谷圏まちづくりグループ」として応募し採択されたもので、ソフトバンクはAIマルチエージェントおよび「OurPick」の開発を担っている。<blockquote>■本実証の概要について1.実証期間 2025年12月1日〜2026年1月31日（予定） 2.視聴方法 （1）スマートフォン・タブレット お持ちのスマートフォンやタブレットから、サイトにアクセスすることで、どなたでもご視聴いただけます。観光支援施設や商業施設などにQRコードが記載されたチラシを設置します。 （2）商業施設内のタッチ式サイネージ 「渋谷フクラス」および「渋谷サクラステージ」に設置されたタッチ式デジタルサイネージの「OurPick」から視聴できます。 （3）ホテル客室内設置のiPad 東急リゾーツ＆ステイが運営するホテル「東急ステイ渋谷」の各客室に設置されたiPadから「OurPick」を視聴できます。3.掲載店舗 広域渋谷圏内で本実証に参加いただいている50以上の店舗（順次拡大予定） 「東急プラザ渋谷」、「渋谷サクラステージ」、東急プラザ原宿「ハラカド」、「キュープラザ原宿」、「代々木公園 BE STAGE」などに入居する飲食店・物販店の一部、他4.対応言語 日本語・英語・韓国語・中国語（簡体）・中国語（繁体）の5言語</blockquote><h3 id="h51933b9028">AIマルチエージェントについて</h3><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/a63e6803d259484297a4bcaf3d8d48e5/940be98d7c0246649e0b5b5be8f9945c/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-12-04%2017.15.40.jpg" alt="" width="1606" height="896"></figure><a href="https://www.youtube.com/watch?v=eOfVPl9ByF4" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">AIマルチエージェントのコンセプト動画</a>　 （本映像は、iai株式会社が生成AIを活用して制作）AIマルチエージェントは、複数のAIエージェントがそれぞれ自律的に思考・行動しながら、互いに協力してタスクを遂行する技術。ソフトバンクはこの技術を用いてショート動画の制作におけるプロセスを自動化した。シナリオの設計やビジュアルの演出、音声や楽曲の同期、編集作業、品質確認など動画制作における工程を、AIエージェントが分担・連携し、さらにディレクター役のAIエージェントが全体を統括。動画の生成には、複雑なプロンプト入力やシーン設定など詳細な指示を行う必要がなく、プロモーションする商品やメニューの特長や魅力、写真を入力するだけで、AIマルチエージェントが約15秒のショート動画を多言語で生成する。<figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/a63e6803d259484297a4bcaf3d8d48e5/fa75171561754b439f594430c2a8cc0c/sub3.png" alt="" width="2031" height="1265"></figure><h3 id="h4e0305090f">地域特化型ウェブサービス「OurPick」について</h3>「OurPick」は、飲食店や物販店などの「自信のある商品やサービスをもっと多くの人に知ってもらいたい」という思いを叶える、東急不動産が新たに提供する広域渋谷圏に特化した地域特化型のウェブサービス。店の「渾身の一品」を、まるでクリエイターが制作したかのような魅力的な15秒程度の動画で紹介し、スワイプ操作で簡単にお気に入りの一品をピックアップしたり、「お気に入り」画面から店舗の場所や詳細情報を確認したりすることができる。「OurPick」というサービス名には、“街がピックアップしたおすすめ”と“利用者自身がピックアップしたお気に入り”が重なり合うことで、訪れた旅行者とお店との間に「偶然だけど最高の出会い」を生み出すという思いが込められている。OurPick（WEBサイト）：<a href="https://ourpick.jp" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">https://ourpick.jp</a><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/a63e6803d259484297a4bcaf3d8d48e5/60e1b99cfaf0400080cd2b4058eea155/sub5.png" alt="" width="650" height="368"></figure><a href="https://www.youtube.com/watch?v=7gubB6mtkSc" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">「OurPick」のコンセプト動画 </a>  （本映像は、iai株式会社が生成AIを活用して制作）<h3 id="hf4ab2d926b">今後の展開について</h3>今後、東急不動産とソフトバンクは、「OurPick」サービスの本格提供に向けて、店舗担当者が自身でプロモーション動画を生成・投稿できる環境の構築を進めていく。東急不動産は、「OurPick」を活用した地域特化型の情報発信の可能性をさらに追及し、広域渋谷圏における回遊性の向上を通して、滞在時間の延長とエリア消費の増加という地域課題の解決を目指す。ソフトバンクは、AIを活用したビジネス変革の実現と社会実装の加速に向けた取り組みを強化するため、AIマルチエージェントの技術を、観光や商業、公共など多様な領域への展開を目指していく。<a href="https://www.tokyu-land.co.jp/news/2025/001604.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">東急不動産 公式プレスリリース</a>

AIマルチエージェントを活用して自動で制作した動画を「広域渋谷圏」の来街者向けに配信して行動変容を促す実証を開始

東急不動産株式会社とソフトバンク株式会社（以下、ソフトバンク）は、自然言語処理モデル「GPT」をベースに「広域渋谷圏」※1に特化した生成AI（人工知能、以下「地域特化型生成AI」）基盤を構築するとともに、データ連携基盤（都市OS）と組み合わせて、広域渋谷圏で収集したイベント情報や店舗情報、気象情報などの多様な情報を活用することで、来街者の行動変容を促す共同実証を2024年11月11日に開始する。本実証では、東急不動産が主幹する観光案内所に、地域特化型生成AIを搭載したアプリケーションが操作できるタッチ式サイネージを設置。街のリアルタイム情報や事前に学習した広域渋谷圏の様々な情報を基に、来街者に対して訪問先の提案を行うことで、広域渋谷圏の魅力向上および満足度向上を目指している。<h3 id="h9f42e03e31">背景および取り組み概要</h3><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/a63e6803d259484297a4bcaf3d8d48e5/1ea355744e554a32a006a685f60d2f76/sub1.jpg" alt="" width="877" height="995"></figure>東急不動産とソフトバンクは、ソフトバンクが入居する東急不動産の大規模複合ビル「東京ポートシティ竹芝」を中心とする竹芝地区（東京都港区）などで、これまでに取り組んできた都市OSの活用に関する知見※2と、東急不動産が保有する広域渋谷圏に関わるさまざまな情報※3を学習させた地域特化型生成AIを掛け合わせて、スマートシティの新たなモデルケースの構築に向けた実証を行う。広域渋谷圏で収集したイベント情報や店舗情報、気象情報などの多様な情報を基に地域特化型生成AIが解釈・分析を行い、飲食やショッピング、イベントなどに関する来街者それぞれの興味や目的に最適な提案をすることによって、来街者の行動がどのように変化するのかを検証する。広域渋谷圏は、渋谷や原宿、表参道など、国内のみならず世界中から多くの人々が訪れる、職・住・遊が近接したさまざまな魅力にあふれたエリアだ。海外からの観光客を含め、多くの人々が渋谷スクランブル交差点や忠犬ハチ公像を訪問するなど、観光名所に関する認知度や満足度が高い一方で、飲食やショッピングに関する認知度・満足度は相対的に低いという傾向にある※4。そこで東急不動産とソフトバンクは、広域渋谷圏において生成AIや広域渋谷圏に関する様々な独自の情報を活用し、来街者に対してさまざまな魅力を訴求して、広域渋谷圏の回遊性向上を目的とした共同実証を実施することになった。<h3 id="hd7836876ff">共同実証について</h3>本実証では、2024年11月から12月まで、地域特化型生成AIを搭載したアプリケーションを操作できるタッチ式サイネージを、東急不動産が主幹する観光案内所「shibuya-san（シブヤサン）」（渋谷フクラス1階）※5に設置する。来街者がサイネージに表示される「渋谷で働く女性」や「渋谷に長年住む地元のおじいさん」など、生成AIにより生成されたさまざまな人格・個性を持ったアバターを選択すると、独自の口調や表現で、街のリアルタイム情報や事前に学習した観光案内所スタッフのおすすめスポット、近隣住民や学生に人気の飲食店等の広域渋谷圏に関する様々な独自情報を基に、訪問先を提案。アバターが来街者それぞれの興味や目的などに寄り添いながらさまざまな提案をして、来街者がタッチ式サイネージに表示された情報を選択することで、まるで街に詳しい人物と会話をしているかのようなやりとりを行い、広域渋谷圏における新たな魅力を創出し、回遊のきっかけづくりを行う。これにより、来街者の行動がどのように変化するのかを検証していく。<blockquote>概要 期間：2024年11月11日（月）～12月23日（月）予定 場所：shibuya-san（東京都渋谷区道玄坂一丁目2番3号 　渋谷フクラス1階） 対応言語：日本語、英語、中国語、韓国語</blockquote><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/a63e6803d259484297a4bcaf3d8d48e5/70a0a7fb51c24dbf9d5c0a07d7eef4cf/main.jpg" alt="利用イメージ" width="692" height="527"><figcaption>利用イメージ</figcaption></figure><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/a63e6803d259484297a4bcaf3d8d48e5/c51aa3f7dd6e4851afe42cf3f525ae1a/sub2.png" alt="地域特化型生成AIの設置場所（渋谷フクラス1階「shibuya-san」）" width="1687" height="853"><figcaption>地域特化型生成AIの設置場所（渋谷フクラス1階「shibuya-san」）</figcaption></figure>東急不動産とソフトバンクは、この共同実証の結果を踏まえ、生成AIなどの活用によるスマートシティの新たなモデルケースの構築に向けて、さまざまな可能性を検討していく。<blockquote>※1 広域渋谷圏とは、東急グループが渋谷まちづくり戦略において定めた、渋谷駅から半径約2.5km圏内のエリアを指します。 ※2 竹芝地区で収集した人流情報や訪問者の属性情報、道路状況、交通状況、水位などの情報を、さまざまな事業者がリアルタイムで活用できる情報流通プラットフォームや、先端技術を活用したサービスなどを竹芝地区に実装することで、回遊性の向上や混雑の緩和、防災の強化などを実現し、竹芝および周辺エリアの課題解決に向けて取り組むとともに、地区の経済的発展と付加価値の創出を目指しています。 ※3 広域渋谷圏で「働く」「遊ぶ」「暮らす」人々のおすすめや傾向に関する情報、東急不動産が所有する施設の情報、広域渋谷圏での取り組みを通して東急不動産が培ってきた独自の知見、観光案内所の運営で集積された情報などを指します。 ※4詳細は東京都の「令和5年 国・地域別外国人旅行者行動特性調査結果」をご覧ください。　 ※5 「shibuya-san」は、観光案内機能とアートセンター機能を併設した日本で初めての観光案内所です。渋谷と成田空港や羽田空港を結ぶ高速バスの発着点として、多くの観光客やビジネス客を出迎える観光案内所機能とアート展示があり、企業のイベントや近隣学校や団体と連携したイベントなどが連日開催されています。●SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。 ●その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は各社の登録商標または商標です。</blockquote><a href="https://www.tokyu-land.co.jp/news/2024/001296.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">東急不動産SCマネジメント公式プレスリリース</a>

TAGAI

ARTICLE

生成AIが呼び起こす街の記憶。「Shibuya AI concierge」の可能性と意義を探る

NEWS

AIマルチエージェントを活用して自動で制作した動画を「広域渋谷圏」の来街者向けに配信して行動変容を促す実証を開始

スマートシティの新たなモデルケースの構築に向け「広域渋谷圏」で生成AIを活用して来街者の行動変容を促す共同実証を開始

ARTICLE

生成AIが呼び起こす街の記憶。 「Shibuya AI concierge」の可能性と意義を探る

NEWS

AIマルチエージェントを活用して自動で制作した動画を「広域渋谷圏」の来街者向けに配信して行動変容を促す実証を開始

スマートシティの新たなモデルケースの構築に向け「広域渋谷圏」で生成AIを活用して来街者の行動変容を促す共同実証を開始

生成AIが呼び起こす街の記憶。「Shibuya AI concierge」の可能性と意義を探る