「クリエイターたちが集まる場所」を体現した映像
「HARAKADO since 2024.4.17」は、「ハラカド」開業前のとある一日に招かれた水曜日のカンパネラ・詩羽さんが主人公となり、様々なクリエイターと出会いながら新しい文化が芽生える現場を体験していく様子が描かれている。
撮影が行われたのは、「ハラカド」の開業まで2週間あまりに迫った3月28日。早朝の7階フロアに向かうと、まだ養生テープや梱包資材が残ったままの館内に無数の出演者、クルー、機材がひしめいていた。ショートフィルムのクライマックスを飾る、ドローンを駆使した屋上テラスでのダンスパートが始まるようだ。

詩羽さんを中心に、ダンサーやテナント従業員ら約100人が一斉に踊るのは、「ハラカド」のために書き下ろされた水曜日のカンパネラの”四天王”(3rd EP『POP DELIVERY』収録)。アフロ・ハウスとベース・ハウスが交互に押し寄せるユニークなサウンドと、《四天王って知ってんの?/摩天楼で待ってんぞ》の歌詞が印象的なリフレインは、文字通り「ハラカド」に集う人々の一体感を表現したものだという。
当日はあいにくの曇天だったが、一滴も雨が降らなかったのはこの楽曲が持つパワーのおかげかもしれない。完成したショートフィルムを踏まえ、これからの「ハラカド」と、変化を続ける原宿に期待することを詩羽さんにコメントしてもらった。

【詩羽 コメント】
お仕事でご一緒した方や、仲良くさせていただいている方がたくさん出演されているので見ていてとても楽しいですし、クリエイターたちが集まる場所というのが体現された映像になっているなと感じました。特に印象的だったのは、私が出演させていただいた映画『アイスクリームフィーバー』(2023年)が映し出されているシアターで監督の千原(徹也)さんとすれ違うシーン。自分が演技している姿を見つめているところが、ショートフィルムのシーンになるというのが新鮮でした。
これからの原宿には、「ハラカド」を中心として様々なジャンルのクリエイターたちが集まることで、常に新しいものが生まれ続けるポップな街であり続けてほしいなと思います。
未完成、荒削り、余白、それが「ハラカド」の個性
詩羽さんがコメントで触れた「『アイスクリームフィーバー』が映し出されているシアター」というのは、「ハラカド」3階に位置する会員制クリエイティブラウンジ「BABY THE COFFEE BREW CLUB」(以下、BCBC)の中にある「POPCORN THEATRE」のことだ。「クリエイターズ・プラットフォーム」と銘打たれた3階フロアは本ショートフィルムにおいても重要なパートを占めている。

たとえば、1分23秒頃のカオスなフォトスタジオ「STUDIO SUPER CHEESE」、インフルエンサーがTikTokを収録する1分43秒頃の「STEAM STUDIO」、元CHAIのマナ・カナさんらが登場する1分57秒頃の「J-WAVE ARRTSIDE CAST」、そして詩羽さんがコーヒーを飲む2分11秒頃のBCBCラウンジのシーンは、すべて3階フロアで撮影されたものである。ショートフィルムを見てから「ハラカド」に訪れれば、ちょっとしたロケ地めぐりも楽しめるだろう。


BCBCのコンセプトは、「おいしい珈琲と人が集まる場所に、新しいアイデアが生まれる」。この場所の仕掛け人にして、「ハラカド」全体のクリエイティブ・ディレクターも兼任する株式会社OOAAの大木秀晃さんは、ショートフィルム「HARAKADO since 2024.4.17」について次のように語ってくれた。
【大木秀晃 コメント】
自分たちで創っておきながら言うのもなんですが、未完成、荒削り、余白、そういったことを感じました。ただ、それが「ハラカド」の個性であり、ある意味「完成しない」というのが、原宿らしさだとすると、しかるべくしてこうなったのではないかと思います。撮影当日は、様々なフロアで同時多発的にいろいろなことが起きていて、これがまさに「ハラカド」の面白いところなのではないかと実感することもできました。構造としては、開業前の「ハラカド」の記録と、開業後の「ハラカド」を常に比較できるようになっています。
この開業前の状態からどれだけ遠くにいくことができるか? 5年後、10年後、20年後に、このショートフィルムを見た時に、「今と全然違うね!」となるくらい、いい意味で変化が続くことを期待しています。
たくさんのバトンを繋げてたどり着いた景色
時には屋外で、エントランスで、エレベーターで、地下の「小杉湯原宿」で行われた撮影は、のべ40時間にもわたったという。詩羽さんはもちろん、銭湯の番台に扮したオカモトレイジさん(OKAMOTO'S)、世界的ハウスダンサーのMiyuさん、銭湯絵師のレジェンドこと中島盛夫さん、水曜日のカンパネラの衣装デザインでも知られる3D CGクリエイターのkiyuu.スズキユウさん、原宿を中心に活躍するヘア&メイクアップアーティストの奈良裕也さん、そして「ハラカド」に事務所を移転したアートディレクターの千原徹也さん……etcといった、第一線で活躍するクリエイターも多数出演している。

また、文化服装学院の生徒である山口空叶夢(やまぐちあとむ)さんが出演するほか、ヘアメイクをベル・エポック美容専門学校の学生が手がけるなど、次世代を担うクリエイターの卵たちが「共創」に参加している点も頼もしい。「HARAKADO since 2024.4.17」の監督と、“四天王”の振り付けを兼任した志村知晴さんも、PROJECT LIFE LAND SHIBUYAのために特別にコメントを寄せてくれた。

【志村知晴 コメント】
たくさんのバトンを繋げてたどり着いた。
という感慨と、後ろを振り返って「すごい景色だな」
と感謝にあふれました。印象的だったことは、全部においてあります。
というのも、屋上から始まり、ありとあらゆる全ての箇所で、毎回演者さんも変わり、一箇所、一つの現場で目の当たりにすることとは思えない濃度でした。店舗の方・キャストさん・ダンサー・アーティストが数分ごとに目の前に現れ演出をお伝えするという特濃空間でした。クリエイターにフォーカスした空間という点で、これまでの商業施設の中で起こることもより、「ハラカド」はHOTで前衛的であるのではないかと。カルチャーが交わる場所として、ここから生まれるたくさんの景色にワクワクします。
「昔々、あのHARAKADOがまだ開業していない日の出来事」を記録した、タイムカプセルのような今回のショートフィルム。何年後かに見返すと、「あの人もこの人も出ていたんだ!」という驚きと発見があるはずだ。なお、動画の終盤で表示されるQRコードを読み込むと……ここから先は、ぜひあなたのスマホで確かめてほしい。
