PROJECT LIFE LAND SHIBUYA
広域渋谷のまちづくり LIFE LAND SHIBUYA
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ARTICLE

世界で一番トガッた商業施設の1周年はひと味違う。
「ハラカド文化祭」の全貌をレポート

第1回「ハラカド文化祭」

2025.05.15

  • #原宿
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2024年に開業を迎えてから、早くも広域渋谷圏における文化創造・発信拠点の「顔」となりつつある東急プラザ原宿「ハラカド」(以下、「ハラカド」)。その1周年を記念し、来館者、ショップ、クリエイター、施設スタッフが一体となり、いつもと違う「+1」を体感できる新感覚イベント「ハラカド文化祭」が、開業日と同じ4月17日に開催された。LIFE LAND SHIBUYA(以下、LLS)では、撮り下ろし写真と共に当日の模様を振り返る。

「ハラカド文化祭」のコンセプトは、「+1」のアイデアを、「+1」の驚きを、「+1」の進化を、いつもと違う「+1」を体験すること。全75店舗のショップはこの日限りの「+1」のおもてなしを提供し、ブランドやショップの垣根を超えたコラボレーション、ポップアップ、ワークショップなども充実。「ハラカド」が得意とする、全館フル稼働のプログラムはどこを切り取っても驚きの連続で、まさに「文化祭」を思わせる演出や手作り感にあふれていた。

商業施設とは思えない遊び心と下町感

LLS編集部が訪れたのは、通常営業を終えた18時以降の<夜の部>だ。「ハラカド」のInstagramに投稿されていたインビテーションを提示すれば誰でも入場可能ということで、街ごと巻き込んでお祭りをみんなで「共創」していく――というマインドは、昨年9月に開催された「カド祭り」とも通じるものがある。

「ハラカド文化祭」当日、1階のエントランスには長蛇の列が
「ハラカド文化祭」当日、1階のエントランスには長蛇の列が

お馴染みのショップが、一夜限りで違った表情を見せるのも面白い。たとえば3階の会員制クリエイティブラウンジ「BABY THE COFFEE BREW CLUB」(以下、BCBC)は、同階の角打ちスタジオ「STUDIO SUPER CHEESE」とタッグを組み、『スナック 袖CHEE』と題した交流会を実施。隣接した「ALL GOOD FLOWERS」で購入した花をスナックの“ママ”に渡すと会話のきっかけや人との“つなぎ役”として優先的に紹介が受けられる「入店ミッション」を課すなど、都心の商業施設とは思えない遊び心と下町感で来館者を魅了していた。

3階「BCBC」では、華やかな衣装に身を包んだ人々がアルコール片手に交流を楽しんでいた
3階「BCBC」では、華やかな衣装に身を包んだ人々がアルコール片手に交流を楽しんでいた
角打ちスタジオ「STUDIO SUPER CHEESE」で実施された『スナック 袖CHEE』の模様
角打ちスタジオ「STUDIO SUPER CHEESE」で実施された『スナック 袖CHEE』の模様

「BCBC」ではグラウンドフロアに位置するヘアサロン「PEEK-A-BOO」によるライブヘアアレンジブースを設置し、来場者がヘアセットを受けられる体験も好評を博した。また、モータサイクル&サーフスタイルを融合したオーストラリアのブランド「Deus Ex Machina Japan」は、5階の「紫金飯店」とコラボレーションし、出前スタイルで2階のショップにフライドチキンや餃子を直送。DJパフォーマンスと合わせて、ファッションや音楽好きの外国人観光客が多数駆けつけるほどの大盛況だった。

地上階では、恵比寿の会員制バー「CASBA」と「PEEK-A-BOO」のコラボによるDJパフォーマンスも堪能
地上階では、恵比寿の会員制バー「CASBA」と「PEEK-A-BOO」のコラボによるDJパフォーマンスも堪能
大盛況の「Deus Ex Machina Japan」には、外国人観光客の姿も多数見られた
大盛況の「Deus Ex Machina Japan」には、外国人観光客の姿も多数見られた
5階の「紫金飯店」には、名物の玉子炒飯や餃子を求めて行列ができていた
5階の「紫金飯店」には、名物の玉子炒飯や餃子を求めて行列ができていた
2階の「TENGA LAND」ではTENGA公式相棒ロボット「TENGAロボ」も登場
2階の「TENGA LAND」ではTENGA公式相棒ロボット「TENGAロボ」も登場
7階イベントスペース「701」では、原宿・表参道の夜景とお酒が味わえるSPECIAL BARが登場。1階の人気店「MOLESKINE」と「HINEMOS」のコラボとなり、「ハラカド文化祭」限定のノベルティやノートのカスタマイズサービスも提供された
7階イベントスペース「701」では、原宿・表参道の夜景とお酒が味わえるSPECIAL BARが登場。1階の人気店「MOLESKINE」と「HINEMOS」のコラボとなり、「ハラカド文化祭」限定のノベルティやノートのカスタマイズサービスも提供された

トークイベントが浮き彫りにした、原宿の魅力と課題

クリエイターが集い、働き、語らう場所として、「ハラカド文化祭」だけの特別なトークも同時多発的に行われた。まず、2階の雑誌図書館「COVER(カバー)」には、『AERA』のブランドプロデューサーである木村恵子さんをはじめ、門野隆さん(『MOE』統括編集長)、内田さやかさん(『COOL Begin』編集長)、阿部太一さん(編集者 / 「みよし屋」店主)、田中泰延さん(コピーライター)といった第一線で活躍するクリエイターが揃い踏み。「COVER Magazine Night」と銘打ち、MCを務めた渡辺祐さんと共に「雑誌」という文化が持つ特異なストーリーを語り尽くした。

雑誌ファン垂涎のエピソードも飛び出した「COVER Magazine Night」の様子
雑誌ファン垂涎のエピソードも飛び出した「COVER Magazine Night」の様子
4階で行われた千原さん、詩羽さん、中村さんによるトークイベントは満員御礼
4階で行われた千原さん、詩羽さん、中村さんによるトークイベントは満員御礼

4階では、DJ ダイノジや田中知之さん(FPM)らもDJとして出演した「クローズドパーティー」の合間にトークイベントを実施。れもんらいふ代表の千原徹也さん、昨年「ハラカド」開業時のインスパイアソング「四天王」を提供した水曜日のカンパネラの詩羽さん、トラベルカルチャー誌『TRANSIT』代表の中村貞裕さんが登壇し、原宿の魅力やトレンド、そして課題について語り合った。中村さんが言う「(原宿は)夜に人がいなくなる街」や、詩羽さんの「原宿にもライブができる場所があれば、もっと音楽が身近になるのに」という言葉には、原宿カルチャーがさらに花開くためのヒントが隠れていたように思う。

千原さんは「DJ DESIGN KILLER」名義でDJも披露。19時になった瞬間に、ピチカート・ファイヴの「東京は夜の7時」を回す粋な選曲が光る
千原さんは「DJ DESIGN KILLER」名義でDJも披露。19時になった瞬間に、ピチカート・ファイヴの「東京は夜の7時」を回す粋な選曲が光る
うなぎパイの春華堂が手がける3階「HOW'z」もポップアップカフェとして出店
うなぎパイの春華堂が手がける3階「HOW'z」もポップアップカフェとして出店

トークという文脈では、3階「J-WAVE ARRTSIDE CAST」から全館に生放送されていたラジオも印象深い。MC陣の軽妙な掛け合いはさながら文化祭の放送室のようで、神出鬼没に飛び入りするゲストや、MEGUMIさんなどの著名人からの特別コメントもハラカド1周年に花を添えてくれた。

3階「J-WAVE ARRTSIDE CAST」の様子
3階「J-WAVE ARRTSIDE CAST」の様子

アメリカで話題の新感覚スポーツ「ピックルボール」を体験!

「ハラカド文化祭」には、来場者が楽しめるアクティビティも充実。4階エスカレーター付近の壁一面にはびっしりと書道のロゴ(実際に「ハラカド」で働く人や、常連のお客さんらが筆をしたためたという)が掲げられており、このコンセプトはそのままポスターやインビテーションなどのビジュアルに採用された。来館者もその場で書道を体験することができ、見るたびに個性豊かな筆文字が並んでいく様は壮観だ。

4階の壁面に掲出された筆文字のロゴ
4階の壁面に掲出された筆文字のロゴ

何と言っても目玉だったのは、「HARAKADO1周年ハラカド文化祭 PICKLE in HARAKADO」だ。PICKLEことピックルボールは、テニス・卓球・バドミントンの要素を組み合わせたアメリカ発祥のラケットスポーツ。バドミントンコートと同じ広さのコートで板状の「パドル」と呼ばれるラケットを使用し、穴の空いたボールを打ち合うシンプルなルールながら中毒性があり、“アメリカでもっとも成長しているスポーツ”と言われるのも頷ける。

「PICKLE in HARAKADO」は、オシャレしたままでも楽しめる気軽さが特徴
「PICKLE in HARAKADO」は、オシャレしたままでも楽しめる気軽さが特徴
れもんらいふの千原徹也さんがアートディレクターを務めたキービジュアル
れもんらいふの千原徹也さんがアートディレクターを務めたキービジュアル

今回はなんと、「ハラカド文化祭」のために4階のパブリックスペース「ハラッパ」が期間限定で広大な体育館に変貌。『TRANSIT』が手がけるピックルボールブランド「Pacific PICKLE CLUB」による体験コートが設置され、老若男女誰でもピックルボールを楽しむことができた。また、「Pacific PICKLE CLUB」×「HARAJUKU SPORTS CLUB®(れもんらいふ)」のコラボグッズとしてジャージの上下(当日は千原さんも着用)も発売。当日の文化祭気分を盛り上げる最高のスパイスとなっていた。

「Pacific PICKLE CLUB」×「HARAJUKU SPORTS CLUB®(れもんらいふ)」のコラボグッズ
「Pacific PICKLE CLUB」×「HARAJUKU SPORTS CLUB®(れもんらいふ)」のコラボグッズ
「ハラカド」のオフィス1周年を機に、れもんらいふは「LEMONLIFE WORK&SHOP HARAJUKU, TOKYO」として“働く”と“お店”が交差する新しい場に生まれ変わった
「ハラカド」のオフィス1周年を機に、れもんらいふは「LEMONLIFE WORK&SHOP HARAJUKU, TOKYO」として“働く”と“お店”が交差する新しい場に生まれ変わった

つかの間の「学生気分」に浸れたこの1日。発起人である千原さんは、1年前に並木橋から「ハラカド」にオフィスを移転した際、「原宿で、一緒になんかやろう。」を合言葉に掲げていたが、それを体現してみせたイベントが「ハラカド文化祭」だったのかもしれない。個人的にも、原宿のど真ん中で文化祭をやる――というアイデアには感銘を受けた。世界で一番トガッた商業施設として、これからの「ハラカド」にも期待大だ。

Text:Kohei Ueno/Photo:Daisuke Okamura

SPOT

東急プラザ原宿「ハラカド」

2024年4月17日オープン。これまでさまざまなカルチャーを生み出してきた原宿・神宮前エリアが持つヒストリーや、SNSを通じて誰もが発信や自分なりの表現を行う現在の時代背景を踏まえて、「多様な人々の感性を刺激する、新たな原宿カルチャーの創造・体験の場」をコンセプトとしている。