PROJECT LIFE LAND SHIBUYA
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渋谷桜丘で新たなライフスタイルが花開く。
「Shibuya Sakura Stage」商業エリアが本格始動

まちびらき&内覧会|レポート

2024.08.07

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渋谷の新たな玄関口として注目を集める「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」。その商業エリアで、7月25日に新業態のレストランやショップを含む37店舗がオープンした。これは、まちの魅力向上と新たな渋谷を発信し盛り上げていく取り組み「SHIBUYA まちびらき2024-あたらしい景色をソウゾウしよう-」の一環となるもので、JR渋谷駅新南改札に隣接する立地ならではの刺激的なテナントが目白押しだ。7月8日に開業した「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」と並んで青山方面(青渋)へのアクセスも向上しており、“誰もが巡り歩いて楽しい渋谷”の未来に期待が高まる。今回は、7月18日に行われた記者発表会と内覧会の様子をお届けしたい。

5年で人流は143%に増加、さらなる賑わいの創出へ

記者発表会ではまず、東急不動産代表取締役の星野浩明氏からオープンに至るまでの経緯が説明された。昨年11月の竣工記者発表会でも述べられたように、Shibuya Sakura Stageは東急不動産創業の地である渋谷において、駅周辺地区の100年に一度の再開発における「ラストピース」と位置付けられている。地元住民や商店街、渋谷区をはじめとした行政との合意形成を経て、2023年11月30日に竣工されるまでには25年もの歳月が費やされた。

東急不動産(株)代表取締役社長 星野浩明 氏
東急不動産(株)代表取締役社長 星野浩明 氏
駅と施設、街をつなぐ歩行者ネットワーク 
駅と施設、街をつなぐ歩行者ネットワーク 

渋谷桜丘周辺は鉄道と国道によって分断され、アクセス性が課題とされていたエリアだ。しかし、新設された渋谷駅南口北側自由通路、渋谷駅西口歩道橋デッキ、そして2024年7月21日に利用開始となった渋谷駅新駅舎の新南改札および西口地下歩道との接続によって、駅や周辺エリアへの回遊性が大きく向上した。

ドコモ・インサイドマーケティングの「モバイル空間統計」によれば、2024年3月の施設周辺人流は、着工前の2019年3月と比較して143%に増加。人流のピークとなる18時から19時の間には、1ヶ月累計で10万人以上の増加を確認したという。商業エリアやオフィスエリアの本格始動によって、周辺住民やオフィスワーカーも含む来館者の増加が見込まれ、さらなる賑わいの創出が期待される。

国際都市渋谷にふさわしく、世界中から人々が集まり、新しい文化やビジネスが生まれる舞台として本格始動するShibuya Sakura Stage。「桜丘は個人経営の飲食店やライブハウスなど、衣食住遊がバランスよく配置されていた。その文化を継承し、働く・遊ぶ・暮らすが一体となった新しいライフスタイルを目指す」と星野氏は意気込みを口にした。

リアルとバーチャルが溶け合う魅力的なインフラ

東急不動産(株)都市事業ユニット 渋谷事業本部 執行役員本部長 黒川泰宏氏
東急不動産(株)都市事業ユニット 渋谷事業本部 執行役員本部長 黒川泰宏氏

続いて登壇した東急不動産の黒川泰宏氏は、Shibuya Sakura Stageが掲げる新しいライフスタイルのイメージ映像を紹介。登場人物は子育て支援アプリを開発する起業家、スマホアプリをプロデュースする会社員、そしてインディーゲームを制作するクリエイターの3人だ。Shibuya Sakura Stageを舞台に働き、暮らし、交流する姿が描かれ、「人と始まる渋谷。桜丘から。」という言葉で締めくくられる。映像に登場するオフィスや飲食店、桜丘の街並みが新たな暮らしを予感させた。

さらに黒川氏はShibuya Sakura Stageの提供価値を桜の木になぞらえ、「根・幹・花」の3パートに分けて紹介した。「根」ではリアルと溶け合うデジタルインフラとして、来場者とテナント・広告主をつなぐAR体験型メディアや、広域渋谷圏のワーカー同士の交流を活性化させるコミュニケーションアプリ「SHIBUYA MABLs」など、デジタルツインを前提としたインフラの拡充が進んでいる。

「幹」を担うのは文化創造発信や交流の場だ。商業エリア3階はコンテンツ・ポップカルチャーゾーンとして、日本の優れたコスメやキャラクターを世界に発信。会員制シェアオフィスや心身の健康・ウェルビーイングを支える国際医療施設など、Shibuya Sakura Stageに入居するスタートアップを支える環境も整う。

「花」として生み出されるのが、Shibuya Sakura Stageを含む新しいライフスタイルだ。広域渋谷圏におけるオフィスやコワーキングスペース、出会いの生まれるサウナやコミュニティレジデンスの展開は、渋谷から新たなビジネスが生まれる機運を高める。マサチューセッツ工科大学(MIT)と連携したアクセラレーター(スタートアップや起業家をサポートし、事業成長を促進する人材・団体・プログラム)や、インディーゲームクリエイター支援のプログラムも、意欲ある個人や企業の支援になるだろう。

また、カルチャーを軸とした体験価値を創出するため、カルチュア・コンビニエンス・クラブと締結した「まちづくり協定」に基づき、コミュニティ形成やエリアブランディング活動にも取り組んでいくという。

LINEスタンプラリーと連動した「OPEN THE GATE CHALLENGE」など、本格オープンを記念したイベントも多数企画
LINEスタンプラリーと連動した「OPEN THE GATE CHALLENGE」など、本格オープンを記念したイベントも多数企画

渋谷最大級の書店と、アートも楽しめるラウンジ

ここからはShibuya Sakura Stageの「幹」を担う場所となる、渋谷サクラステージSHIBUYAサイド4階「サクヨン」を紹介しよう。ここは趣味、音楽、アートなどのカルチャーとフードが交わり、新たなつながりが生まれる場として位置付けられている。

エスカレーターでサクヨンに訪れた人がまず目にするのが、渋谷エリア最大級の書店「TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷サクラステージ」である。「SHIBUYAの今とこれからを過ごす全ての人々の生き方が広がる場」をコンセプトに掲げ、渋谷を訪れるクリエイティブワーカーと近隣住民をメインターゲットとした、約16万冊の蔵書を取り扱う渋谷エリア最大級の書店だ。

約16万冊の蔵書を取り扱う「TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷サクラステージ」は、渋谷エリアで4店舗目の出店となる
約16万冊の蔵書を取り扱う「TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷サクラステージ」は、渋谷エリアで4店舗目の出店となる
最短 60 分からのドロップイン利用が可能なシェアラウンジには、約180席と会議室3部屋を完備
最短 60 分からのドロップイン利用が可能なシェアラウンジには、約180席と会議室3部屋を完備

「TSUTAYA BOOKSTORE」にはシェアオフィスの機能性とラウンジの居心地の良さを兼ね備えた「SHARE LOUNGE」も併設。最短60分からのドロップイン利用が可能で、用途によって使い分けできる180席、会議室3部屋を備えている。知的好奇心を刺激する本に囲まれた空間では、斬新なアイデアが生まれるかもしれない。

≪Might Be Classics≫の第5弾、松下徹と新美太基による二人展『Out of Outline』は8月25日まで展示中だ
≪Might Be Classics≫の第5弾、松下徹と新美太基による二人展『Out of Outline』は8月25日まで展示中だ

書店やラウンジの周辺には、CCCアートラボが手掛ける≪Might Be Classics≫をはじめ、気鋭のアーティストたちの作品も並ぶ。これは東急不動産とカルチュア・コンビニエンス・クラブの「まちづくり協定」の一環として実施される「re-search」プロジェクトによるものだ。次世代アーティストの応援は渋谷の街を盛り上げると共に、それを目にする来場者たちにもインスピレーションを与えるだろう。

インディーゲーム・クリエイターの聖地「404 Not Found」

「404 Not Found」はインディーゲーム・クリエイターのためのグローバル・クリエイション拠点だ。ゲーム、アート、音楽、フードなど様々なカルチャー領域で活動するインディー・クリエイターの聖地を目指し、展示イベントやワークショップ、音楽ライブや期間限定レストランなど、多様な企画を開催するという。

内覧会ではインディーゲームを起点としたゲーム展示やイベントで構成された「4●4 GAME SHOW」もお披露目
内覧会ではインディーゲームを起点としたゲーム展示やイベントで構成された「4●4 GAME SHOW」もお披露目
インディーゲームの配信などで活用される「404 STUDIO」
インディーゲームの配信などで活用される「404 STUDIO」

同拠点では巨大なスクリーンや試遊・交流などマルチに使えるスペースのほか、配信スタジオまで網羅する。ゲームクリエイターの支援として「GAME CREATOR FINDING」もスタートし、インディーゲームの祭典「BitSummit」を主催するSkeleton Crew Studioと協業しながら、作品紹介や体験会の実施、技術交流など、遊びをフックとしたカルチャーを育んでいくという。

渋谷産ビールと美味しいフードが交流を生む「FOOD MET」

「サクヨン」のフードホール「FOOD MET(フードメット)」に集まる17店舗は、すべてが新業態となる野心的な顔ぶれだ。地域住民をはじめ、ビジネスパーソンや若者など、多種多様な人たちが集まる「カオス」な場所であった桜丘。その雰囲気を引き継いだ新たな”商店街”で、多様なグルメを体験できる。

「FOOD MET」で最大面積を占めるのは、8つの店舗が集まる「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL」。東急不動産と「SHIBUYA BREWERY」がタッグを組んで生まれた、渋谷ならではの軽やかでユニークな地ビールを中心に、昼はフードコート、夜はひとつのレストランのように楽しめる。

「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL」の入口に掲げられたロゴ
「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL」の入口に掲げられたロゴ
ビアレストラン「SHIBUYA BREWERY」
ビアレストラン「SHIBUYA BREWERY」
200席以上を有するホールは、昼時はフードコートとして利用可能。窓際にはJRの線路を見下ろせる特等席も
200席以上を有するホールは、昼時はフードコートとして利用可能。窓際にはJRの線路を見下ろせる特等席も

ここで味わえる「SHIBUYA WEIZEN」と「SHIBUYA PALEALE」は、会話が弾むような軽やかな飲み心地。現在はパートナー企業に製造を依頼しているが、通常営業開始と共に施設内での醸造も開始し、2024年内にはまさにこの場で作られたビールが味わえるという。「ビール作りは街づくり」というコンセプトの通り、渋谷ならではのビールとユニークなフードの数々が、新たな出会いと会話を盛り上げてくれるだろう。

404 Not Found の一角に設けられた、新しい【食】の可能性を模索するラボキッチン「404 Kitchen」
404 Not Found の一角に設けられた、新しい【食】の可能性を模索するラボキッチン「404 Kitchen」

「FOOD MET」2つ目のエリアは、新しい食の可能性を模索するラボ要素を取り入れたPOP UPレストランが出店する「404 Kitchen」。テーマは「チャレンジ」で、これまで店舗を持っていなかった個人やスタートアップ店舗を応援するという。日本全国からの出展企画や、ここでしか味わえないシェフの逸品など、専門店のPOP UPも展開されていく予定だ。

「シン食堂街」と銘打った3つ目のエリア「渋谷 By STREET」には、まるで路面店のような個性豊かな店舗が並び、パブリックな賑わいを創出。和食シェフの手捌きを眺めながらライブ感で楽しむ大人の酒場や、ソウル・ミュージックの流れるカジュアル鮨、ライブキッチン型ステーキ専門店、自家製トルティーヤが名物のメキシカンなど、6つの飲食店が軒を連ねる。一つひとつが専門店でありながら、おひとり様でも、グループでも、誰もが気軽に楽しめる食堂街として愛されるだろう。

和食シェフたちがライブキッチンで魅せる大人の社交場「酒場ジャロウ」
和食シェフたちがライブキッチンで魅せる大人の社交場「酒場ジャロウ」
「メキシカンダイナー ラ・エスキーナ SHIBUYA」では、自家製トルティーヤで作るクラフト・タコスが絶品
「メキシカンダイナー ラ・エスキーナ SHIBUYA」では、自家製トルティーヤで作るクラフト・タコスが絶品
「スシとワイン SUSHI SOUL」の店内には、文字通りソウル・ミュージックが鳴り響く
「スシとワイン SUSHI SOUL」の店内には、文字通りソウル・ミュージックが鳴り響く

これからも渋谷の街と共に

記者発表会の質疑応答において、100年に一度の駅周辺再開発を経て、次の展開をどうするのかと問われた星野社長はこう答えた。「駅中心の5街区は一段落しましたが、広域渋谷圏ではまだ開発を控えています。街として不足する機能を考えながら、Shibuya Sakura Stageや駅からのつながりを生かすことを意識していきたいです」。

ひと足先に開業した「ハイアット ハウス 東京 渋谷」やオフィス棟をはじめ、エンタテインメントとビジネスにおいても大きなポテンシャルを秘めたShibuya Sakura Stage。ここからまた、「職・住・遊」が一体化した新たなライフスタイルが花開きそうだ。

Text:Yoshihiro Asano/Photo:Shoichi Fukumori

SPOT

Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)

日本を代表するターミナル駅である渋谷駅に隣接し、代官山や恵比寿へのアクセスもよい桜丘エリアの約2.6ヘクタールの敷地を一体的に整備して誕生した。SHIBUYAサイド(SHIBUYAタワー、セントラルビル)とSAKURAサイド(SAKURAテラス、SAKURAタワー)で構成される。先行する渋谷駅中心地区の他施設とともに、交通基盤の拡充、様々な機能の導入による拠点性向上と防災機能の強化を行いながら、国際競争力をさらに強化する大規模複合施設。